恋✕重岡大毅
校舎の窓から見る君は、いつもと何かちがうみたいで。
友達といるせいかどうか。でもやっぱりかわいいなって
お互い高校3年生でもうすぐ卒業。頭のいい彼女と同じ大学に行けるわけもなく、ただただ別れを待つのみ。
「もう見惚れることもできへんやん…」
ずっと好きだったなんて俺のキャラちゃうしなぁ、って考えてもうこんな季節。言わへん、なんて選択肢はないけど、どうしたらいいのか正直分からない。
「しげ! 」
悶々と悩んでいた俺に対していつも通りの彼女。お前は寂しないんかい。思わず突っ込みたくなる。
「なんやねん」
「みんなで遊びに行こうって! しげもくる?」
「…行かへんし、そんなん」
「とかいって、本当は寂しいだけでしょ?」
「あ~もうわかったわ、行けばええんやろ」
結局彼女は俺のことを知り尽くしてる。不機嫌なときも分かってくれる彼女にいつも救われてたんや。俺やって彼女のことは全部知ってるつもりだし、知りたいとも思ってた。ベタ惚れやったんやなぁ…なんて今さらで。
❮きっと誰より君を想っているのは今日も明日も僕だから ずっと好きだってことを言わないと❯
「しげ来ないって言ったら私も行かないつもりだったの」
「…また冗談いうてさぁ、好きなん? 俺のこと」
「…え、しげは?」
「………さぁ?」
「そっか…じゃ、またね、」
ばか!なんで今言わへんかってん!ビビってんなよ俺!!
勇気を振り絞って彼女を追いかける。
「しげ、どうしたの?」
なぜか、彼女の手を掴んでる。これからなんて言お…全然思いつかへん。
❮逢えなくなる前に 言えなくなる前に その手を❯
「あのさぁ…」
言えなかった。
ごまかしてもうてん。
❮好きな映画も好きな食べ物も誕生日も全部知ってるけど❯
でも、彼女が誰を好きなのかも知らない。そういう凄く大事なことは何も知らなくて。
それでも、ずっと、俺はあいつのことだけをずっと、…
❮きっと誰より君を想っているのは今日も明日も僕だから❯
「なぁ! ずっと、俺さ 」
「? どうしたの?」
「ずっと、な、」
彼女の手をぎゅっとにぎる。緊張して手汗がにじむ。気にすんな俺、いける、俺なら。
「好きやってん」
❮逢えなくなる前に 早くしないと 言えなくなる前に❯
「…え?」
❮その手を❯
「ずっと、お前しかみてへん」
原案
back number『恋』