アーバンライフ✕藤井流星
愛なんて知らない。わからない。
どうせ女なんてどれも同じ、モノなんだ。
ここはどこや…?
ふと目が覚めた。ここがどこかはわからない。わかるのはベッドに横になっている自分と、その隣にいる名前もわからない女。
まぁ多分その場の気分で抱いたんやろうけど。、
窓から外を見るとヘッドライトが夜の街を流れていく。
「くせぇな…」
そういえば煙草の火消してへんかったやん。
そういって煙草を消して女のほうへ目をやる。
本当に全く覚えていない。どうするか、なんて考えるのも今はめんどくさくてもう一回眠りにつく。
❮触れたいだけ 他に意味はない ❯
所詮お互いに感情なんてないから、だから遠慮なく逢える。他に誰がいても。
❮それでもいいって暗黙の上 天国行きの沈黙の中うわずった声で❯
今日もまた女がぞろぞろ来る。その相手をするのはただの暇つぶしであって遊び。それはあっちも同じこと。
俺の名前を呼んだら、お返しに愛してるって囁く。
こんなん挨拶やし
どんなに強くしたって痛みさえも感じなくなるほど
だって俺達にはなにもない。
❮始まりのない関係には終わりも無い 痛みもない❯
「もっとこっちこいって、」
そういって女を手繰り寄せると待ってたかのようにくっついてくる。
「俺にはお前だけや」
こういうときの愛してる、なんてただの上辺だけの言葉であって本心ではない。そんなことわかってる。
愛してるなんて、バカらしい。
❮身の上話も飾る嘘もここにはいらない 心も必要ないの 嗚呼 ❯
今日もまた女が俺の名前を呼ぶ。
それに俺はこう答えるんだ。
「愛してるって、言って欲しいんやろ?」
嘘をつく、なんて そんなの簡単や
「愛してる、…さっさと始めようや」
❮名前を持たない関係に君はいない 僕もいないんだ❯
原案
back number 『アーバンライフ』